9 後遺症慰謝料に関する裁判例
(1) 東京地裁平成17年5月30日判決
洋服のデザイン会社兼モデルの女性が若干の顔面醜状を残した事案につき、自賠責非該当の醜状であり、経営者としての収益と醜状が影響すると考えられるモデルとしての収益を明確に区別し難く後遺障害逸失利益を算定できないとしたが、顔面に痣様の痕跡が残っており労働能力に与える影響は決して小さくはないとし、慰謝料で斟酌して200万円を認めた。
(2) 京都地裁平成17年9月22日判決
事故3年前までモデル、レースクイーンをしており、事故当時は派遣社員で母経営のラウンジ手伝いであった25歳女子が、事故により眼窩吹き抜け骨折等の傷害を負い、自賠責で7級顔面醜状、14級左右上下複視で併合7級の後遺障害認定を受けた事案につき、事故後に調整した眼鏡を使用すれば日常生活に特に支障はなく、顔面醜状障害も接客業に就くことを格別困難とするほどではないとし、後遺障害による逸失利益を否認したものの、後遺障害慰謝料で斟酌するとして1000万円を認めた。
(3) 福岡高裁平成18年4月11日判決
植物状態(1級3号)の短大生(女・事故時18歳)につき、傷害分500万円のほか、本人は請求通り3000万円、父母分として各300万円の後遺障害慰謝料合計3600万円を認めた。
(4) 神戸地裁平成18年6月16日判決
高次脳機能障害(3級3号)、嗅覚障害(14級)、醜状障害(12級4号)で併合2級の後遺障害を残した兼業主婦(固定時44歳)の慰謝料につき、本人分2300万円、介護のため多くの負担を余儀なくされ歯科クリニックの収入も減少した夫300万円、子2人各100万円、合計2800万円を認めた。
(5) 千葉地裁佐倉支部平成18年9月27日判決
脳挫傷等で299日入院し、遷延性意識障害等(1級3号)のアルバイト(男・37歳)につき、傷害分350万円のほか、状態が重篤であること、加害者が酒気帯びで制限速度超過だった等その態様が悪質であることから、本人分3200万円、父母各300万円の後遺障害分合計2800万円を認めた。
(6) 大阪地裁平成18年9月29日判決
自転車走行禁止の高架道路を自転車で走行中、自動二輪車に衝突され、脳挫傷等で事理弁識能力を欠く状態(2級3号)となった警備員(男・54歳、生活保護受給)につき、傷害慰謝料245万円のほか、本件事故後謝罪等がなされていないとして後遺障害慰謝料2500万円を認めた。
(7) 大阪地裁平成18年11月16日判決
高次脳機能障害(3級3号)等で併合2級の後遺症を残す高校生(男・固定時20歳)につき、傷害分500万円のほか、後遺障害分慰謝料として本人分2200万円、被害者の暴言・暴力に曝されている父母各300万円、合計2800万円を認めた。
(8) 東京治哉平成19年2月14日判決
高次脳機能障害(2級1号)の主婦(固定時67歳)につき、傷害分273万円のほか、事故の態様、加害者が事故直後現場に駆けつけた警察官に虚偽の事実を述べ責任や衝突の事実を否定したことなどから、後遺障害分として本人分2500万円、主たる介護者の夫100万円、合計2600万円の後遺障害慰謝料を認めた。
(9) 東京地裁平成19年5月30日判決
頭蓋骨骨折脳挫傷等で11か月余入院し、労働能力喪失率100%の遷延性意識障害の後遺症を有する大学生(女・固定時22歳)の慰謝料につき、傷害分306万円のほか、後遺障害分として本人分3000万円、父母各300万円、合計3600万円を認めた。
(10) 仙台地裁平成19年6月8日判決
遷延性意識障害(1級1号)の会社員(女・症状固定時26歳)につき、何の落ち度もなく1日24時間を通じて介護を受けない限り生命を維持し難いという悲惨な境遇におかれ、仕事や家庭生活を営む幸せを奪われたことから、傷害分400万円のほか、後遺障害分として、本人分3000万円、介護に人生の大半を費やすに父母各300万円、合計3600万円を認めた。
(11) 大阪地裁平成19年6月20日判決
高次脳機能障害(2級3号)の専門学校生・アルバイト(男・症状固定時20歳)につき、慰謝料として、傷害分300万円のほか、本件事故は脇見運転という被告の一方的過失により発生したものであることなど本件に現れた一切の事情を考慮するとして、後遺障害分として本人2600万円、母200万円、合計2800万円を認めた。
(12) 神戸地裁平成19年9月10日判決
交差点を歩行中、一時停止道路から進入しできた乗用車に衝突され、びまん性軸索損傷等で768日間入院し植物状態で1級1号の後遺障害を残した単身独居生活の82歳の女性につき、原告の後遺障害の内容、年齢、生活状況、本件事故の態様、介護の可能性を総合的に考慮し、後遺障害慰謝料3000万円を認めた。
(13) 横浜地裁平成21年4月23日判決
9歳の女子小学生が、交差点で自転車に乗って一時停止中に、左折してきた大型貨物車に巻き込まれ、右足轢過等で約7か月入通院後、右足露出部分に約13cm×6cmの醜状癈痕(14級5号)を残し、背中に皮膚移植の際に皮膚を切り取ったことによる9cm×6cm強の白く盛り上がった部分を生じている事案につき、同級生に指摘されるなどしたため、公衆の集まる風呂やプールを嫌がり、思春期にかかる年頃であり、足の傷を気にして年頃の女性としての服装が限られてしまうこと、形成手術によってもきれいに回復するかは不明であること等の事情を勘案し、原告の後遺障害慰謝料としては14級に相当する慰謝料より加算すべきとして250万円を認めた。


