Q15 通常損害と特別損害
仕事中お得意先へ向かう途中に相手の不注意な運転で追突されました。大きな受傷はなかったのですが、事故のためにその日の重要な取引が駄目になってしまいました。この損害についても請求したいと考えていますが可能でしょうか。
まず、特別損害か通常損害かの判断が必要です。
交通事故によって相手方に受傷させられた場合、それに生じた損害全部を賠償してもらいたいと考えるのは当然ですが、加害者がすべての損害について賠償責任を負うのだとすると、責任の範囲が予想外に拡大し、加害者にとって酷な結果を生じることになります。
加害者の責任の範囲を限定するために債務不履行の場合の損害賠償の範囲を定めた規定を適用し、相手方に損害を与えた場合は、「通常生ずると考えられる損害(通常損害)」の範囲でよいとし、「特別の事情があったため生じた損害(特別損害)」については、当事者がその事情を予見していたかまたは予見することができたはずである場合に限って責任が生じるとしています。 よって損害を請求する場合は、①通常損害になるのか特別損害になるのか、②特別損害だとしたら、そのような事情につき予見可能性があったかどうか、の判断が必要になります。例えば、被害者の平均収入が高いため休業損害が予想外に高額になったとしても、それは通常損害の範囲とみなされるでしょう。一方上記のケースのような、たまたま事故時に重なった一時的な収入の逸失などは特別損害であると判断され、また損害の予見可能性もなかったとみなされれば、損害として請求出来ないことになります。
判例
横浜地裁小田原支昭和47年10月13日判決
妻の事故死により子供の面倒をみる者がいなくなったため、夫が会社を辞めなければならなくなったという事案について、妻の事故死と夫の退職との間に因果関係はあるが、夫の退職による逸失利益は通常生ずべき損害とはいえず、特別な事情により生じた損害に当たるとしても、このような結果の発生を、加害者において予見可能であったとするのは無理であるとして、夫の退職による逸失利益についての損害賠償請求を認めなかった。


