Q1 死亡事故の逸失利益
夫(50歳・会社員)が交通事故で死亡しました。私は専業主婦で収入がありませんし、子供2人は未成年ですし、今後どのように生活していけばよいか不安です。夫が生きていれいればもらえるはずだった給与や賞与などを請求することができると聞きました。具体的にどのように算出するのでしょうか。事故当時は年収500万円でした。
逸失利益の算出によって求められます。
逸失利益とは、事故にあって死亡しなければ将来得られたであろう収入のことをいいます。事故と相当因果関係のある損害として、加害者に対して請求できます。死亡事故の場合の逸失利益は、被害者の基礎収入、被害者があと何年働けたかを基準に、生活費を控除し、中間利息の控除を行ったうえで算出されます。計算式は次のとおりです。
基礎収入(年収)×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対するライプニッツ係数
基礎収入(年収)
被害者が生存していれば得られたであろう収入額であり、給与所得者、事業所得者、家事従事者、幼児・学生などで算出方法が違います。 給与所得者の場合は死亡時の収入が基礎となり、ボーナスを含めた年収が基礎となります。また、将来の昇給分についても、昇給規定や昇給潜行が存在し、昇給基準が確立している場合は認められています。
生活費等の控除率
死亡事故の逸失利益を算出する場合は、生存していれば当然に発生する生活費を逸失利益から控除します。この生活費控除率は、一家の支柱で、被扶養者が1人の場合は40%程度、被扶養者が2人以上の場合は30%程度、女性(主婦、独身、幼児等を含む)は30%程度、男性(独身、幼児等を含む)は50%程度という基準があります。
就労可能年数
被害者が生存していれば働けたであろう年数をいい、裁判実務では原則として67歳まで就労可能年数としています。つまり50歳で死亡した場合は、67歳-50歳で、あと17年就労可能であったと考えます。
自由業などで、それよりも長く働く蓋然性が高い者については、もっと高齢になるまで認められることもあります。
中間利息の控除
逸失利益は本来将来発生する損害を現時点において一時に発生したものとして算出するものですから、実際の損害額は中間利息を控除した上で算出されるべきです。中間利息控除を行わないと被害者側がその分を不当利得することになるからです。
被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中問利息の割合は、民事法定利率(年5分)によります。控除の方式としては、判例上はライプニッツ方式(複利)、ホフマン方式(単利)のいずれも許容されていますが、現在はほぼライプニッツ方式で統一されています。ライプニッツ係数は、ライプニッツ係数表を利用し、就労可能年数(平均余命年数、稼働可能年数)から導き出します。
計算例
| 基礎収入 | 500万円(事故前の収入額) |
|---|---|
| 生活費控除率 | 30%(一家の支柱 被扶養者2人以上の場合) |
| 就労可能年数 | 17年間(67歳-50歳) |
| 中間利息の控除 | 11.274(就労可能年数17年に対応するライプニッツ係数) |
逸失利益 3945万9000円(500万円×(1-0.3)×11.274)
※上記の損害額は各項目の基準を参考に算出していますが、すべての交通事故の事案にそのまま当てはまるわけではありませんのでご注意ください。


