交通事故専門弁護士トップ » 積極損害 » 2 傷害事故の場合

交通事故の無料法律相談

2 傷害事故の場合

治療関係費

治療費

必要かつ相当な実費全額が認められますが必要性、相当性がないときは、過剰診療、高額診療として、否定されることがあります。
過剰診療とは、診療行為の医学的必要性ないしは合理性が否定されるものをいい、高額診療とは、診療行為に対する報酬額が、特段の事由がないにかかわらず、社会一般の診療費水準に比して著しく高額な場合をいいます。
自由診療として認められる場合は一般に、1点20円程度が単価とされます。
過剰診療についても、被害者の意思と無関係にされたものについては全額認められます。被害者があえて過剰な診療を医師に求めた場合には否定されます(福井地武生支判昭52・3・25)。

事例

自由診療として1点15円とした事例(福岡高宮崎支判平9・3・12)
過剰診療について損害賠償の額としてではなく、薬剤料については診療1点単価を10円、その余の部分については10円50銭とした事例(東京地判平元・3・14)
不必要な転医による費用を否定した事例(東京地判昭49・10・29)
入院中の態度、特に外出、外泊の事実から、その必要性を3分の1と認めた事例(東京地判平7・11・28)

鍼灸、マッサージ費用、治療器具、薬品代等

柔道整復、鍼灸、あん摩、マッサージ及び指圧などの東洋医学に基づく施術については、医師の指示がある場合などは認められる傾向にあります。

事例

薬品代として、温湿布ガーゼ等の購入費として約3万円を認めた事例(東京地判平8・1・23)

温泉療養費

医師が療養上必要と認めた場合など、治療上有効かつ必要がある場合に限り認められますが、額は制限されます。

事例

費用の60%を認めた事例(東京地判昭53・3・16)
鞭打ち症の被害者が温泉診療所へ46日間通院のために要した交通費と宿泊費を認めた事例(大阪地判昭61・2・27)

特別室使用料

医師が療養上必要と認めた場合ないし特別の事情(症状が極めて重いとか、空室がなかったなど)があれば認められます。

事例

重篤の83日間の入院につき日額2万円の差額を認めた事案(大阪地判平3・1・31)
第五頚髄以下完全麻樺1級障害者につき、室料差額38万3160円(1日当たり4100円余)を認めた事案(大阪地判平6・9・29)
遷延性意識障害(1級3号)の会社員(女・固定時23歳)につき、症状固定日の翌日から口頭弁論終結の日までの592日間について個室の室料差額210万円余を認めた上で、将来の室料差額として、被害者の求めに基づき、定期金賠償方式で月額10万8500円を認めた事例(神戸地判平16・12・20)

症状固定後の治療費

否定される場合が多いようですが、治療しなければより悪化する場合で、その支出が相当なときは認められる場合もあります。リハビリテーションの費用は、症状の内容、程度により個別的に判断されています。

事例

下半身麻疹による介護リハビリ費用として24万円余を認めた事例(浦和地判平7・12・26)
頭部外傷Ⅲ型等により植物状態となり1級3号の後遺障害が残った被害者につき、症状固定後も個室の使用が必要であるとして、退院までの405日間分の部屋代合計407万円余を認めた事例(大阪地判平12・7・24)

将来の手術費、治療費等

将来手術ないし治療又は介護することが必要かつ確実なものであるかぎり認められます。将来の通院交通費についても必要性があれば相当額が認められ(大阪地判平6・9・29、神戸地判平成9・9・3など)、将来の雑費としての紙おむつなど介護用日常的消耗品についても認められます(大阪地判平12・7・24など)。
特別養護老人ホームで生涯を過ごすことになる被害者に特別養護ホームでは厳密な意味での治療費は必要でないものの一定の費用を要するとして、これまでの入院治療費の実績や入院雑費の額を考慮し、平均余命までの13年間1日3500円、合計1254万円余を認めた事例(神戸地判平11・3・8)、視力障害者の生活訓練及び盲導犬訓練費を認めた事例(東京地判昭61・5・15)などがあります。

事例

将来の手術費、治療費が認められた事例として大阪地判平12・8・29など
植物状態になった場合における将来の差額ベッド代が認められた事例として東京地判平12・9・27

付添看護費

入院付添看護費

看護師や家政婦など職業付添人を雇った場合は実費になります。
近親者の入院付添入院1日につき6500円(赤い本)、5500円~7000円(青い本)とされています。症状の程度により、また、被害者が幼児、児童である場合には、1割ないし3割の範囲で増額を考慮することができる場合もあります。
必要性の有無は医師の判断による場合が多いのですが必ずしもそれに限られることはなく、社会通念上必要と認められれば差し支えないとされる場合もあります。付添人の数は原則として1人で重複付添は原則認めらません。付添人の必要性は一般的には被害者本人が付添人の助けを借りずにトイレに行ける程度に回復すれば消滅するとされています。

事例

近親者が職業についており、日中は、職業付添人が付添い、夜間は、近親者が付添うため、職業付添費の他、夜間付添費を2000円、1日中近親者が付添った場合の近親者付添費を1日4500円とした事例(大阪地判平10・11・30)
1級3号の被害者(女子・57歳)の近親者付添費として日額8000円を認めた事例(東京高判平14・8・8)
1級3号の後遺障害を残した男児(症状固定時9歳)につき、集中治療室の面会時間外も待機し、一般病棟移転後も1日7時間の面会時間(その後夜間も)に声かけ、手足のマッサージ、オムツ交換、吸引等の付添・介護を行ったとして、付添時間、介護内容等に照らし入院期間139日中を平均して日額7000円合計97万円余を認めた(大阪地判平16・1・23)事例
近親者の付添につき休損相当額を参考に付添看護費用を認めた事例(東京地八王子支判平12・10・17、大阪地判平15・4・18など)
近親者が付添うためアルバイトを雇用した場合に、アルバイト料を損害と認めた事例(福岡地判昭60・1・28)

通院付添看護費

医師が療養上必要と認めた場合又は幼児、老人、身体障害者など必要と認められる場合には肯定されます。幼児・身体障害者等が通院する場合で付添が必要な場合は、通院付添費として3300円(赤い本)、3000円~4000円(青い本)が認められます。

事例

弾発股(9級相当の後遺障害)により歩行が困難となった被害者(男・29歳)につき、通院付添費として1日あたり4000円、186日分を認めた事例(神戸地判平12・7・6)
頭蓋骨骨折等により90日間通院した被害者(7歳小学生)につき、通院付添費として1日あたり3000円を認めた事例(東京地判平12・10・10)
乳歯喪失の傷害を負った女子(4歳)の通院付添のため欠勤した母親に対し、通院付添費用として1日当たり1万円(6日分)を認めた事例(東京地判平8・12・10)

病状固定までの自宅付添看護費

1級3号の後遺症を負った被害者(女・事故当時16歳・固定時18歳)につき、退院後症状固定までの62日間につき、日額7500円の付添費を認めた事例(名古屋地判平14・11・11)
同1級3号の後遺障害を残す被害者(女・症状固定73歳)につき、夫は、妻のてんかん、発作等に備えて24時間体制で看護に当たらざるをえなかったとして、日額1万1000円の自宅付添費を認めた事例(大阪地判平14・8・29)
1級3号の後遺障害を残した男児(症状固定時9歳)の自宅介護費につき、退院後は全面的な介護が必要であったものの、月を追うごとに室内自力移動、介助歩行、常時付添による復学、養護学校への送迎のみにまで回復したとして、養護学校への送迎のみになるまでは日額8000円(696日分)、それ以降日額6000円(124日分)を認めた(大阪地判平16・1・23)事例

将来の介護費

医師が療養上必要とした場合は認められます。原則として平均余命までの間、職業付添人については実費全額、近親者付添人においては、1日につき8000円(赤い本)、6500円~8500円(青い本)が平均余命までの間、認められます。一般的には後遺障害1~2級の重度の後遺障害被害者しか将来の看護費は認められません。中間利息は控除されます。被害者死亡後(後遺障害を残し、裁判係属中に死亡)の介護費用は損害として認められません(最高裁平11・12・20)。

事例

いわゆる植物状態になった10歳児(症状固定時11歳)の将来の介護費用につき、68年間にわたり1日2万円を認めた事例(大阪地岸和田支判平14・7・30)
後遺障害等級併合1級の女性(症状固定時23歳)につき、職業付添人による介護費は、現時点では日額4万円を下回ることはないが、介護保険制度の見直しが予定されている等、現在の価格水準がそのまま維持される蓋然性は低いとして、日額4万円の60%に相当する2万4000円を基礎として算定するのが相当分あるとした上で、母親が67歳になるまでの16年間は、同人の介護(日額8000円)と職業付添人の介護(1日当たり2時間分・3692円)が必要であり、その後の平均余命までの52年間は、職業付添人の介護(日額2万4000円)が必要であるとした事例(東京地判平15・8・28) 障害等級併合4級の高次脳機能障害等を残_した被害者(男・事故時16歳・症状固定時18歳・高校生)の将来付添費(介護料)として、介護の内容が随時看視や声かけが必要なため、1日あたり2000円平均余命60年間、総額1381万円余の介護料を認めた(東京地判平16・9・22)事例
頚部以下の知覚鈍麻、全知覚脱失の後遺障害を残した特別養護老人ホームに入園している被害者(症状固定時66歳)につき、同ホームの費用をもって将来の介護費算定の基礎金額とするのは相当でないとして、平均余命15年間の付添看護費として1日4500円を認めた事例(神戸地判平5・4・28)
四肢完全麻疹、膀胱直腸障害、日常生活全般にわたり介護を要する被害者(女・症状固定時29歳)の将来の介護費につき、公的扶助があるからといって加害者がその分の介護費用の支払いを免れることは相当でないとし、母親が67歳になるまでの9年間は介護ができるものとして1日当たり6000円の介護費用を認め、その後は職業的付添人に依頼せざるを得ないとして1日あたり1万2000円を認めた事例(東京地判平11・2・26)

雑費

入院雑費

入院中にかかった治療費以外の日用雑貨品購入費(寝具、衣類、洗面具、紙おむつ、チリ紙など購入費)、栄養補給費(牛乳、バターなど購入費)、通信費(電話、郵便代など)、文化費(新聞雑誌代、ラジオ・テレビ賃借料など)などの入院雑費。入院中の諸雑費を個々に立証させることは煩雑で、かつ実益も乏しいところから定額化されています。入院1日につき、1500円(赤い本)、1400円~1600円(青い本)を基準としています。被害者は入院の事実さえ立証すれば、この金額の範囲で損害賠償を受けることができます。入院が長期になっても原則減額されません。

事例

1日1500円(597日間)のほか、貸しおむつ代1日2000円(597日間)を認めた事例(神戸地判平16・12・20)

将来の入院雑費

後遺障害の場合で、平均余命までの間、1日1000円~1600円(青い本)程度。5000円という判例もあります。

通院交通費

電車・バス等公共機関の利用が原則です。タクシーやハイヤーを利用した場合は、相当な事情がある場合のみに認められます。自家用車を利用したときは、ガソリン代、高速道路料金、駐車場料金なども認められます(神戸地判平7・8・2、東京地判平7・8・29)。看護のための近親者の交通費も被害者本人の損害として認められます(神戸地判平8・1・19)。
遠隔地のため被害者や付添いの家族の滞在が必要で相当である場合に限り、宿泊費、賃借した家賃及び共益費並びに仲介手数料についても認められます(札幌地判平16・2・5、長崎地大村支判17・10・28)。
見舞いのための交通費(家族の見舞い)についても認められます(札幌地判平13・12・5)。

事例

被害者である看護師の職場復帰交通費19万円余を認めた事例(東京地判平17・2・15)
タクシーによる通院交通費を認めた事例(東京地判平14・3・22)

医師・看護師への謝礼

否定する見解、入院雑費に含める見解、独立に損害として認める見解などがありますが、認めるとしてもその額は社会通念上相当額に限られます。見舞客に対する接待費、快気祝などは認められません。

事例

東京地判平12・10・4、東京地判平16・12・21、大阪地判平17・9・21など

子供の学習費、保育費等

被害の程度、内容、子供の年齢、家庭の状況を具体的に検討し、学習、通学付添いの必要性があれば相当額が認めらます。
進級遅れの場合の授業料(東京地判平10・1・30)補習費及び家庭教師の謝礼とともに無駄となった支払済み教育費用(神戸地判平10・7・17、東京高判平14・7・30など)などが認められています。
保育については、被害者(3才)の付添看護のために乳幼児2人を保育所に預けざるを得なくなった事例(山口地判平4・3・19)、母親が児童の付添をしなければならない結果、その弟の監護につき祖母の監護の必要性を認め、事故後、児童が小学校入学時までの監護費用を認めた事例(大阪地判平5・2・22)があります。

器具等購入費

義眼、義歯、義手、義足など医師の指示があれば認められ、交換の必要があるものについては将来にわたっての費用についても全額認められます。その他に認められた例として、眼鏡、コンタクトレンズ、盲導犬(東京地判昭61・5・15)、人エカツラ(那覇地沖縄支判平3・6・17、大阪地判平8・9・19)、マットレス、オーバーテーブル、特殊ベッド、人工呼吸器、頚椎固定器具(大阪地判平5・2・22)、車イス、シャワー用車椅子、電動介護リフト、フロアーリフト、ワープロ・パソコン(大阪地判平6・9・29、東京地判平7・7・27)、介護用ベッド、ベッドに付けるキャスター、シャワー用ニュースカール(大阪地判平10・5・18)、手押し車椅子、電動車椅子、介護用ベッド、介護テーブル、洗髪器、うがいキャッチ(東京地判平11・7・29)、歩行補助具(東京地判平8・5・9、大阪地判平12・10・30)などがあります。補装具調整のための交通費(大阪地判平12・2・10)についても認められます。

事例

義歯にあっては、保険診療では制約があるとして、自由診療製作費の80パーセントを認めた事例(東京地判平14・1・15)
将来の車椅子代につき、将来の公的扶助がある蓋然性が高く、これを考慮すべきであるとの主張を排斥した事例(名古屋地判平14・3・25)

家屋・自動車改造費等

被害者の受傷の内容、後遺症の程度・内容を具体的に検討し、必要性があれば認められます。家の出入口、廊下、台所、風呂場、トイレ等の改造費、階段昇降機、段差解消機の設置、又は自動車の改造費(東京地判平11・7・29など)、樹林及び庭石の移設費用(東京地判平10・3・19)、入浴用リフト(大阪地判平10・5・18)、エレベーター設置費用ないし管理費(大阪地判平14・5・23)、エレベーターを設置したことによる光熱費の増額分(神戸地判平13・7・4)、フローリング貼り・1階のレイアウト変更・トイレの改造等の費用、システムキッチン・床暖房設備・リフトの設置費用(東京地判平15・3・26)が認められています。後遺障害のためのやむをえない転居による家賃差額、引越代(東京地判平7・3・7、大阪地判平10・5・18、大阪地判平13・6・28)についても認められることがあります。

事例

自動車改造費として、働きながら父の介護をしていた29歳女子の5級2号の後遺障害について、10年ごとに自動車を買い換え、その度に60万円の改造費を要するとして総額。42万円余を認めた(神戸地判平14・1・17)事例

帰国費用・その他

海外からの帰国費用、海外からの被害者搬送費用、海外での事故による家族の渡航費用、旅行のキャンセル料、就学資金の返還、愛玩動物の飼育費用などについても相当額が認められています(大阪地判平4・8・28、横浜地判平6・6・6、東京地判平7・7・4、岡山地判平12・1・25、大阪地判平16・12・7)。

損害賠償請求に関する費用

診断書料、保険金請求手続費用など相当の範囲で認められています。

事例

通信費用、保険金請求費用、調停申立費用、後遺障害立証のための鑑定料・検査料、目撃者への謝礼金、犯人探しの交通費、成年後見申立費用などを認めた事例(東京地八王子支判平10・9・21、東京地判平13・4・11、東京地判平17・2・15、大阪地判平17・7・25)

キャンセル料など

事故による通常損害には当たらず、特別損害であるとして損害賠償の対象外であるという考えもありますが、近時の裁判例では認めることもあります。交通事故により予定していた旅行を取りやめたことによるキャンセル料、結婚式を延期したことによる期日変更の手数料などがあたります。

弁護士費用

不法行為による損害賠償の場合、弁護士費用を敗訴者に負担させるのは確定した判例で(最判昭44・2・27)、現在では交通事故訴訟一般に認められています。
認容額の10%程度を加害者側に負担させるのが普通ですが、認容額が高額になると率は低下する傾向となっています。
和解の場合は、弁護士費用を控除するのが一般です。

外国人

日本に滞在中の外国人が被害者の場合には、外国人に特有な積極損害を認める場合があります。

事例

韓国人女性が日本に留学中に事故にあい受傷したため、滞在期間が予定より延長されたことによる学費、家賃及び更新料、国民健康保険料、ビザ延長のための印紙代の全額と医療費、電話、電気、水道料金、入院中及び通院期間中、来日し付添看護のため滞在した父親の渡航費、通院交通費及び電話代と休業損害を認めた事例(神戸地判平8・12・12)

« 積極損害 目次へ戻る