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2 刑事上の責任

交通事故によって他人を死亡させたり、負傷させたりしますと、刑事上の責任(刑罰)を負います。もっとも、罪が成立するためには、運転者に過失がなければなりませんが、現実に事故が発生している以上過失がないとされるケースは稀です。自動車運転中の過失によって、他人を死傷させた場合は、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)に相当します。人の身体に被害がない、いわゆる物損事故の場合は、刑法上の過失に問われることはなく道路交通法違反のみが問題となり、過失建造物損壊罪(道交法116条)を問われることがあります。

交通事故の刑事上の責任の解決方法としては、刑事裁判(正式裁判もしくは略式手続)によって懲役・禁錮もしくは罰金の制裁が下されます。悪質な運転者の事故が多発したため最近は厳罰化の方向にあります。

刑法上の責任

罪名および条項 状 況 刑 罰
自動車運転
過失致死傷罪
(刑法211条2項)
交通事故で他人を死傷させた場合 7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金、科料
危険運転致死傷罪
(刑法208条の2項)
酒や薬物を飲むなど悪質で危険な運転をし、人身事故を起こした場合 負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上有期懲役(最高20年)
殺人罪
(刑法199条)
殺す意思があって人をひいた場合
※ひき逃げなどによって被害者が死亡した場合も「未必の故意」として殺人罪に問われることがあります。
死刑または無期もしくは5年以上の懲役
懲役や禁錮の判決が下されても、執行猶予がついていれば、刑務所に入らないで済みます。執行猶予は情状によって1年以上5年以下の範囲で裁判所が決定します。執行猶予がつかなければ実刑となりますが、一般の犯罪者とは異なり交通刑務所に入ることになります。(実際には一般刑務所での受刑もあります。)

道路交通法上の責任

道路交通法違反 罰 則
無免許運転 64条 1年以下の懲役または30万円以下の罰金
酒酔い運転 65条1項 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
酒気帯び運転 65条1項 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
救護処置義務違反 72条
救護処置義務違反(ひき逃げ)72条
5年以下の懲役または50万円以下の罰金
10年以下の懲役または100万円以下の罰金(ひき逃げ)

刑事裁判

大量に発生する交通事件のすべてについて正式に法廷で審理するとなりますと、裁判所は大変な時間と労力が必要になり、24時間営業でも追いつかない状況になります。そこで交通事件の刑事処分は大半は「略式手続」によって処理されています。事故発生から処罰までの流れは次の通りです。

刑事裁判の流れ
刑事裁判 状 況 手続き
正式裁判
(公判)
100万円以下の罰金または科料以外の刑を科すのが相当な事件
事件の内容が複雑な場合
通常の刑事裁判手続き
略式手続 100万円以下の罰金または科料となると予想される事件で被疑者に異議がない場合 検察官が裁判所に略式命令の請求を行い、請求をうけた簡易裁判所が適法かつ相当と認める場合に、一定額の罰金または科料の刑を科す。
略式命令に不服がある場合は14日以内に正式な裁判の請求をすることができます。

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