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1 控除の対象となる給付といえるか

給付により損害てん補がされたとして損害額から給付額が控除されるのは、当該給付が損害のてん補を目的としているものであるかによって決められます。

控除の対象になる主なもの 控除の対象にならない主なもの
自賠責保険
労災・健康保険・年金など各種社会保険給付
受領済みの自賠責損害賠償額
政府保障事業からの保障金
任意保険からの損害賠償額 など
数万円程度の香典、見舞金
搭乗者傷害保険金
雇用保険による給付金
生命保険・傷害保険 など

自賠責保険金

自賠責保険金は損害のてん補を目的としたものであり控除の対象となります。また損害費目は便宜上の計算根拠にすぎないので、損害費目による拘束はなく、人身損害額全体から自賠責保険金を控除します。この点は労災保険と異なるところです。

充当方法は元本充当が多いようですが、遅延損害金から充当すべきである旨の主張がされた場合は遅延損害金から充当し、その残額を元本に充当します。 自賠責保険金を損害賠償債権元本に充当し、支払保険金額に相当する金額に対する事故発生日から保険金支払日までの確定遅延損害金を請求することも認められます。

政府の自動車損害賠償保障事業のてん補金(自賠法72条)

自賠責保険金と同様の性質を有しますので控除の対象となります。

任意保険金

控除の対象となります。費目による拘束はありません。

労働者災害補償保険(労災保険)給付

控除の対象となります。もっとも費目による拘束があり、保険給付の対象となる損害と民事上の損害賠償の対象となる損害とが同性質であり、保険給付と損害賠償とが相互補完性を有する関係にある場合に限って損害額から控除されます。たとえば慰謝料から控除することはできず、休業補償給付及び傷病補償年金は、財産的損害のうちの積極損害(入院雑費、付添看護費等)及び精神的損害(慰謝料)から控除することはできません。

控除の対象となる労災保険給付には、(1) 療養補償給付(療養給付)、(2) 休業補償給付(休業給付)、(3) 障害補償給付(障害給付)、(4) 遺族補償給付(遺族給付)、(5) 葬祭料(葬祭給付)、(6) 傷病補償年金(傷病年金)、(7) 介護補償給付(介護給付)があります(括弧内は通勤災害)。具体的には、療養補償給付(療養給付)は治療費のほか多くの場合に入院雑費、通院交通費、付添介護費等の積極損害を、休業補償給付(休業給付)、障害補償給付(障害給付)、遺族補償給付(遺族給付)、傷病補償年金(傷病年金)は休業損害及び逸失利益を、葬祭料(葬祭給付)は葬儀関係費用を、介護補償給付(介護給付)は介護費用をそれぞれてん補します。

休業特別支給金、障害特別支給金等の特別支給金は、控除の対象ではありません。

遺族年金の給付

逸失利益に対しては控除の対象になりますが、他の財産的損害や精神的損害との間で控除することはできません。不法行為により死亡した被害者の相続人が、その死亡を原因として遺族年金の受給権を取得したときは、被害者が支給を受けるべき障害年金等の逸失利益だけでなく、給与収入等を含めた逸失利益全般との関係で控除されます。

健康保険法等における療養の給付

健康保険法及び国民健康保険法における療養の給付(健康保険法63条、国民健康保険法36条)は控除の対象となります。

生活保護法による扶助費

控除の対象になりません。損害賠償を受けた被害者が、生活保護法63条に基づく費用返還義務を負います。

損害保険

保険金を支払った保険者が、保険法25条や約款の規定により、支払った保険金の限度で第三者に対する損害賠償請求権を取得する結果、支払われた保険金の額だけ被害者の損害額から控除されます。

生命保険

給付保険金は払い込んだ保険料の対価で、不法行為の原因と関係がなく、控除の対象ではありません。生命保険契約に付加された特約に基づき支払われる傷害給付金又は入院給付金についても、控除の対象ではありません。

搭乗者傷害保険金

搭乗者傷害保険は約款上、保険会社が保険金を支払った場合でも、被保険者(その相続人)が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得しない旨の定めがあり、控除の対象となりません。もっとも加害者側が保険料を支出している場合は、慰謝料で考慮する場合もあります。

所得補償保険金

控除の対象となります。

香典

控除の対象となりません。

見舞金

謝罪の趣旨で交付されるもので控除の対象となりませんが、多額のものは損害のてん補と解され控除の対象となります。

租税

控除の対象となりません。

養育費

控除の対象となりません。

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